仮想通貨とポイントの違いと、仮想通貨を発行する意味のある場合を考えてみる
どうも、敬虔なジャンプ読者のぺろりんです。
今回は、仮想通貨とポイントの違いについて考えてみようかと思います。
というのも、いまだに毎週購読している週刊少年ジャンプを読んでいたらこの話題が出てきたのです。
2018年33号には50周年記念号ということで「こち亀」が載っていたのですが、その中で両さんと中川が次のようなやり取りをしていました。

両さん「仮想通貨はその店だけで使えるポイントみたいなもんだろ」
中川「まっザックリ言うと」
これを読んで、やっぱ少なくとも世間的にそんな認識だろうなー、と思いました。
たしかに最近よくある「仮想通貨を発行して……」という流れは、両さんが言うようにまさしくただのポイントみたいな感じで発行されている気がします。
ですが、ただのポイントとしての発行だと「仮想通貨だからこそ」という仮想通貨の本質を突いたような使われ方じゃないように思うのです。
というわけで、今回は仮想通貨とポイントを比べてみて、仮想通貨がどういう性質を持っているかを考えてみることにしました。
その上で、どんな使い方であれば仮想通貨を発行する意味があるのかを考えてみます。
(参考)
・週刊少年ジャンプ2018年33号
仮想通貨とポイントの違いって何だろう
とにかく、それぞれの性質を挙げてみて比べてみましょう。
「仮想通貨」、「ポイント」という観点から、思いつくものを挙げてみます。
仮想通貨
・マイナーにより、非中央集権的に発行される
・(取引所に上場した場合)換金可能
・(取引所に上場した場合)価格は市場が決める
ポイント
・発行者により、中央集権的に発行される
・換金可能とは限らない
・(換金できる場合)価格は発行者が決める
両さんの言う「その店だけで使える」という点については、仮想通貨の場合は取引所に上場さえしてしまえば、基本的に通貨ペアを組み合わせれば換金できるのであまり使う場所を制限されません。
ポイントも換金できる設計のものは利用場所の制限はありませんが、換金できないポイントも少なくない気がします。
ここで挙げた中で言えば、“発行者”と“価値の変動性”は特に、仮想通貨とポイントでそれぞれ真逆の特性があります。
厳密に言うと微妙なところもありますが、仮想通貨で中央集権的に発行権限を牛耳る“発行者”は存在しません。
また、ポイントの価値は企業などの発行者が発行時にレートを決めるので固定相場ですが、仮想通貨の価値は市場が決めるため変動相場です。
(参考)
・仮想通貨って電子マネーやポイントと何が違うの?(仮想通貨購入方法ガイド)
・ビットコインと、Tポイントやマイレージとの本質的な違い(仮想通貨JAPAN)
・仮想通貨とポイントの違いとは?(CoinNavi)
・今後10年で仮想通貨はメインストリームに、必要な6つの課題|英大学とeToro共同研究 (CoinPost)
・ビットコインと企業ポイント(楽天ポイント、Tポイント)などの違い(ビットコイン研究所ブログ)
Voicyの配信で取り上げられていた内容
Voicyという音声メディアの「それでもメディアは面白い /赤メガネとコムギ」という配信の中で、ちょうど今回の話題にピッタリの内容が取り上げられていました!
この配信では色々と特徴を挙げられていましたが、個人的に重要かなと思った項目を列挙してみます。
仮想通貨(トークン)
・使用期限がない
・変動相場制
・発行上限あり
・トークンに情報を付加できる
・非中央集権的
ポイント
・使用期限がある(ポイントにもよりますが)
・固定相場制(基本的に価値は変わらない)
・発行上限なし
・ポイントに情報を付加できない
・中央集権的
利用する上では、使用期限の有無は使い勝手に効いてきますね。
変動相場と発行上限の存在に関しては、この配信でも言及されているように、仮想通貨を保持するモチベーションになります。
配信を聴いていて特にハッとなったのが、「情報を付加できる」という特徴です。
これはたしかに仮想通貨やトークンの顕著な特徴ですね。
ブロックチェーンの出生に関わる「非中央集権」という性質ですが、たしかにここで言われているように、実際に利用するユーザーからはどうでもいいかも知れません。
ただし実利もあって、「非中央集権」化することで第三者による手間賃が省かれ、手数料が安くなるということがあり得ます。
仮想通貨とポイントの違いって何だろう(再)
これまでの内容からすると、以下3つが重要な違いのように思えます。
(1)情報付加ができるか否か
(2)発行者(中央集権か非中央集権か)
(3)価値が変動するか否か
それ自身に「(1)情報付加ができるか否か」というのは、あえてそういう作り方をしない限りポイントには実装されていない、かなり仮想通貨(トークン)に特徴的な性質ではないでしょうか。
「(2)発行者」と「(3)価値が変動するか否か」についてはプロダクトによるところもありますが、これらもほとんどの仮想通貨とポイントに言える違いのように思えます。
加えて、ブロックチェーンという観点から考えると、
(4)すべての取引順序が記録されて管理されているか否か
ということが違っているのではないでしょうか?
基本的にポイントはユーザー間での取引が想定されていないと思われるので、ポイント発行者とユーザー間の取引(トランザクション)は厳格に順序を管理されているでしょうが、発行者とすべてのユーザーを含む全体の取引順が管理される必要はなさそうに思えます。(実際の実装はどうなっているんでしょう?)
こういう状況って、結局発行者のような元締め的第三者が居ないような世界なのかなと思うと、(2)と(4)は最終的に「非中央集権的なシステム」に帰着しそうな気がします。。
そうすると、(2)と(4)は一緒にできて、
(2’)中央集権か非中央集権か
と考えるのがやはり良いかもしれません。
ポイントとは違った、仮想通貨ならではの使い方って何だろう?
以上の違い、特徴を踏まえて、ポイントではなく仮想通貨(トークン)を使う意義がある、もしくは仮想通貨(トークン)でなければいけないような使い方ってどんなものでしょうか?
個人的な見解としては、
(1)トークン自体に情報付加する必要がある
(2’)非中央集権的である必要がある(第三者による手数料をかけたくない、など)
という、このあたりを満たすようなプロダクトであれば、かなりポイントではなく仮想通貨(トークン)を発行する必要性があるんじゃないかと思います。
(2’)について言えば、これは承認などのための「第三者」を置きたくない、もしくはこれまで必要だった「第三者」を取っ払うことでメリットが出るような状況を考えると良いかも知れません。
また、トークン自体に情報付加する必要がある非中央集権的に発行したいものであれば、固定相場であったとしても仮想通貨(トークン)である必要がありそうに思えます。
この意味で、私の見解としては、先ほど挙げた「(3)価値が変動するか否か」は「仮想通貨(トークン)を発行する必要性」には寄与しない性質なんじゃないかと考えています。
(1)と(2’)を満たすプロダクトというのは結局、著作権管理のように、「仮想通貨(トークン)」というよりも「ブロックチェーン」の活用になるかもしれません。
そんな中で、あえて通貨的な役割をする必要があるのはどんな場合なんでしょうか……?
「何らかの“価値”を別の形でストックしておくための“形”」として「通貨」を考えるとすれば、価値あるものを背景に、その価値をトークン化して、それが(1)や(2’)を満たすようなものであれば、それはかなり、「仮想通貨(トークン)」である必要がありますね。
こう考えると、「通貨」として発行したいなら、何らかの価値をトークン化することを前提にする必要がありそうに思えてきます。
そういえば、価値をトークン化する話は、以前イケハヤさんもブログで紹介されていました。
(参考)
・【仮想通貨】「トークン」とは何か?事例で解説するよ。(まだ東京で消耗してるの?)
まとめ
さて、今回は仮想通貨とポイントの違いについて考えてみました。
今回考えた中では、以下3点が重要な違いなんじゃないかと提案してみます。
(1)情報付加ができるか否か
(2’)中央集権か非中央集権か
(3)価値が変動するか否か
そして、通貨的な役割をする必要があるもののうち、
(1)トークン自体に情報付加する必要がある
(2’)非中央集権的である必要がある(第三者による手数料をかけたくない、など)
を満たせば、(固定相場であっても)仮想通貨(トークン)ならではの使い方と言えるんじゃないかと考えてみました。
このとき、通貨(=何らかの“価値”を別の形でストックしておくための“形”)的な役割をするためには、そのトークンは何らかの価値に裏付けられている必要があるように思われます。
さて、仮想通貨よりもう少し広く、ブロックチェーンについても少し触れておきます。
個人的な意見としては、あくまでブロックチェーンは技術的な選択肢の一つであって、なんでもかんでも使えばいいというものではないと思います。
以前書いたように、「データの順序付けが、分散システムの中だけで保証できる」ということがブロックチェーンの本質かなと、現状の私は考えています。
なので、データの順序付けが保証される必要があるシステムを、「分散システムで作りたい」ときにブロックチェーンという技術が選択されるべきなのかな、と考えています。
と、こんな感じで今回はこのへんで。
今回は、仮想通貨とポイントの違いについて考えてみようかと思います。
というのも、いまだに毎週購読している週刊少年ジャンプを読んでいたらこの話題が出てきたのです。
2018年33号には50周年記念号ということで「こち亀」が載っていたのですが、その中で両さんと中川が次のようなやり取りをしていました。

両さん「仮想通貨はその店だけで使えるポイントみたいなもんだろ」
中川「まっザックリ言うと」
これを読んで、やっぱ少なくとも世間的にそんな認識だろうなー、と思いました。
たしかに最近よくある「仮想通貨を発行して……」という流れは、両さんが言うようにまさしくただのポイントみたいな感じで発行されている気がします。
ですが、ただのポイントとしての発行だと「仮想通貨だからこそ」という仮想通貨の本質を突いたような使われ方じゃないように思うのです。
というわけで、今回は仮想通貨とポイントを比べてみて、仮想通貨がどういう性質を持っているかを考えてみることにしました。
その上で、どんな使い方であれば仮想通貨を発行する意味があるのかを考えてみます。
(参考)
・週刊少年ジャンプ2018年33号
仮想通貨とポイントの違いって何だろう
とにかく、それぞれの性質を挙げてみて比べてみましょう。
「仮想通貨」、「ポイント」という観点から、思いつくものを挙げてみます。
仮想通貨
・マイナーにより、非中央集権的に発行される
・(取引所に上場した場合)換金可能
・(取引所に上場した場合)価格は市場が決める
ポイント
・発行者により、中央集権的に発行される
・換金可能とは限らない
・(換金できる場合)価格は発行者が決める
両さんの言う「その店だけで使える」という点については、仮想通貨の場合は取引所に上場さえしてしまえば、基本的に通貨ペアを組み合わせれば換金できるのであまり使う場所を制限されません。
ポイントも換金できる設計のものは利用場所の制限はありませんが、換金できないポイントも少なくない気がします。
ここで挙げた中で言えば、“発行者”と“価値の変動性”は特に、仮想通貨とポイントでそれぞれ真逆の特性があります。
厳密に言うと微妙なところもありますが、仮想通貨で中央集権的に発行権限を牛耳る“発行者”は存在しません。
また、ポイントの価値は企業などの発行者が発行時にレートを決めるので固定相場ですが、仮想通貨の価値は市場が決めるため変動相場です。
(参考)
・仮想通貨って電子マネーやポイントと何が違うの?(仮想通貨購入方法ガイド)
・ビットコインと、Tポイントやマイレージとの本質的な違い(仮想通貨JAPAN)
・仮想通貨とポイントの違いとは?(CoinNavi)
・今後10年で仮想通貨はメインストリームに、必要な6つの課題|英大学とeToro共同研究 (CoinPost)
・ビットコインと企業ポイント(楽天ポイント、Tポイント)などの違い(ビットコイン研究所ブログ)
Voicyの配信で取り上げられていた内容
Voicyという音声メディアの「それでもメディアは面白い /赤メガネとコムギ」という配信の中で、ちょうど今回の話題にピッタリの内容が取り上げられていました!
トークンとポイントの違いについて取り上げられていて興味深いです。
— ぺろりん@ぶろっくちぇーん (@peroincahin) 2018年10月17日
それでもメディアは面白い - 赤メガネとコムギ
#20 LINEのトークンエコノミー徹底解説
https://t.co/UJE2F8M5BR #Voicy
この配信では色々と特徴を挙げられていましたが、個人的に重要かなと思った項目を列挙してみます。
仮想通貨(トークン)
・使用期限がない
・変動相場制
・発行上限あり
・トークンに情報を付加できる
・非中央集権的
ポイント
・使用期限がある(ポイントにもよりますが)
・固定相場制(基本的に価値は変わらない)
・発行上限なし
・ポイントに情報を付加できない
・中央集権的
利用する上では、使用期限の有無は使い勝手に効いてきますね。
変動相場と発行上限の存在に関しては、この配信でも言及されているように、仮想通貨を保持するモチベーションになります。
配信を聴いていて特にハッとなったのが、「情報を付加できる」という特徴です。
これはたしかに仮想通貨やトークンの顕著な特徴ですね。
ブロックチェーンの出生に関わる「非中央集権」という性質ですが、たしかにここで言われているように、実際に利用するユーザーからはどうでもいいかも知れません。
ただし実利もあって、「非中央集権」化することで第三者による手間賃が省かれ、手数料が安くなるということがあり得ます。
仮想通貨とポイントの違いって何だろう(再)
これまでの内容からすると、以下3つが重要な違いのように思えます。
(1)情報付加ができるか否か
(2)発行者(中央集権か非中央集権か)
(3)価値が変動するか否か
それ自身に「(1)情報付加ができるか否か」というのは、あえてそういう作り方をしない限りポイントには実装されていない、かなり仮想通貨(トークン)に特徴的な性質ではないでしょうか。
「(2)発行者」と「(3)価値が変動するか否か」についてはプロダクトによるところもありますが、これらもほとんどの仮想通貨とポイントに言える違いのように思えます。
加えて、ブロックチェーンという観点から考えると、
(4)すべての取引順序が記録されて管理されているか否か
ということが違っているのではないでしょうか?
基本的にポイントはユーザー間での取引が想定されていないと思われるので、ポイント発行者とユーザー間の取引(トランザクション)は厳格に順序を管理されているでしょうが、発行者とすべてのユーザーを含む全体の取引順が管理される必要はなさそうに思えます。(実際の実装はどうなっているんでしょう?)
こういう状況って、結局発行者のような元締め的第三者が居ないような世界なのかなと思うと、(2)と(4)は最終的に「非中央集権的なシステム」に帰着しそうな気がします。。
そうすると、(2)と(4)は一緒にできて、
(2’)中央集権か非中央集権か
と考えるのがやはり良いかもしれません。
ポイントとは違った、仮想通貨ならではの使い方って何だろう?
以上の違い、特徴を踏まえて、ポイントではなく仮想通貨(トークン)を使う意義がある、もしくは仮想通貨(トークン)でなければいけないような使い方ってどんなものでしょうか?
個人的な見解としては、
(1)トークン自体に情報付加する必要がある
(2’)非中央集権的である必要がある(第三者による手数料をかけたくない、など)
という、このあたりを満たすようなプロダクトであれば、かなりポイントではなく仮想通貨(トークン)を発行する必要性があるんじゃないかと思います。
(2’)について言えば、これは承認などのための「第三者」を置きたくない、もしくはこれまで必要だった「第三者」を取っ払うことでメリットが出るような状況を考えると良いかも知れません。
また、トークン自体に情報付加する必要がある非中央集権的に発行したいものであれば、固定相場であったとしても仮想通貨(トークン)である必要がありそうに思えます。
この意味で、私の見解としては、先ほど挙げた「(3)価値が変動するか否か」は「仮想通貨(トークン)を発行する必要性」には寄与しない性質なんじゃないかと考えています。
(1)と(2’)を満たすプロダクトというのは結局、著作権管理のように、「仮想通貨(トークン)」というよりも「ブロックチェーン」の活用になるかもしれません。
そんな中で、あえて通貨的な役割をする必要があるのはどんな場合なんでしょうか……?
「何らかの“価値”を別の形でストックしておくための“形”」として「通貨」を考えるとすれば、価値あるものを背景に、その価値をトークン化して、それが(1)や(2’)を満たすようなものであれば、それはかなり、「仮想通貨(トークン)」である必要がありますね。
こう考えると、「通貨」として発行したいなら、何らかの価値をトークン化することを前提にする必要がありそうに思えてきます。
そういえば、価値をトークン化する話は、以前イケハヤさんもブログで紹介されていました。
(参考)
・【仮想通貨】「トークン」とは何か?事例で解説するよ。(まだ東京で消耗してるの?)
まとめ
さて、今回は仮想通貨とポイントの違いについて考えてみました。
今回考えた中では、以下3点が重要な違いなんじゃないかと提案してみます。
(1)情報付加ができるか否か
(2’)中央集権か非中央集権か
(3)価値が変動するか否か
そして、通貨的な役割をする必要があるもののうち、
(1)トークン自体に情報付加する必要がある
(2’)非中央集権的である必要がある(第三者による手数料をかけたくない、など)
を満たせば、(固定相場であっても)仮想通貨(トークン)ならではの使い方と言えるんじゃないかと考えてみました。
このとき、通貨(=何らかの“価値”を別の形でストックしておくための“形”)的な役割をするためには、そのトークンは何らかの価値に裏付けられている必要があるように思われます。
さて、仮想通貨よりもう少し広く、ブロックチェーンについても少し触れておきます。
個人的な意見としては、あくまでブロックチェーンは技術的な選択肢の一つであって、なんでもかんでも使えばいいというものではないと思います。
以前書いたように、「データの順序付けが、分散システムの中だけで保証できる」ということがブロックチェーンの本質かなと、現状の私は考えています。
なので、データの順序付けが保証される必要があるシステムを、「分散システムで作りたい」ときにブロックチェーンという技術が選択されるべきなのかな、と考えています。
と、こんな感じで今回はこのへんで。