仮想通貨も相談無料!低コストでトラブル解決できる金融ADR制度とは?
どうも、ぺろりんです。
2018年11月21日から日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)と紛争解決センターが「仮想通貨交換業務に関する利用者からの申立による紛争解決(ADR)」について協定を締結しました。
これは金融庁の資料にある「仮想通貨交換業に関する自主規制の概要について」に記載された苦情処理・紛争解決に関する要請に基づくものかと思われます。
ちゃんと知っておいた方が良さそうなので、この「金融ADR」なる制度について
1.どんなものか?
2.どうやって使うのか?
3.いくらくらいかかるのか?
という観点から調べてみました。
間違いなどありましたら、ぜひメールフォームからご指摘いただけると助かります。
1.金融ADRってどんなもの?
そもそもADRって?
「ADR」は「Alternative Dispute Resolution(代替的紛争解決手続、裁判外紛争解決手続)」の略で、トラブルが当事者間で解決できない場合に、当事者以外の第三者に入ってもらいつつ、裁判せずに解決を図る仕組みです。
訴訟を起こす場合に比べて
(1)手続きが簡便
(2)解決時間が短い
(3)当事者による解決が重視される
(4)低コスト
(5)非公開
という特徴があるようです。
じゃあ、金融ADRって?
金融機関相手のADRで、第三者として金融の専門家が中立・公正な立場で関与してくれます。
(金融)ADRのメリットとデメリット
では、(金融)ADRのメリットとデメリットはどんなものでしょうか?
調べてみた感じだと、以下のような点が挙げられるようです。
〈メリット〉
(1)裁判に比べて手続きが簡単
(2)裁判に比べて解決が迅速
(3)裁判に比べて低コスト
(4)中立・公正な専門家による和解案が得られる
また、「金融機関は、金融ADR機関から提示された和解案を原則受け入れ」というのも利用者からするとメリットになるかと思われます。
〈デメリット〉
(1)裁判に比べて結論の厳密性に欠ける(手続きの簡便性、解決の迅速性を求めるため)
(2)裁判に比べて、かえって解決が長引く可能性もある
(3)被害者に極端に有利とはならない
(4)「あっせん」の場合に解決案に拘束力がない(金融ADRの場合、上記のように金融機関側には拘束力がありそうです)
(5)認知度が低い
「消費者金融などの利用者が払い過ぎた金利(過払い金)の返済請求は「債務整理」の扱いになるため、原則としてADRの対象にはならない」というのも、(暗号資産関連で起こるかはわかりませんが)デメリットかも知れません。
だいたいこんな感じでしょうか。
いつ利用するの?
当事者間(取引所とその利用者など)で、トラブルを解決できない場合に利用します。
今回は仮想通貨関連の利用シーンに絞りますと、日本仮想通貨交換業協会によれば、当事者間で協議して解決できない以下のような場合が想定されています。
・ (日本仮想通貨交換業協会の)会員による説明では納得できない場合
・ 苦情の処理によらずに金融ADRによる解決を求める場合
・ 苦情の申し出から3か月以上にわたり苦情の解決が図られていない場合
原則これらの場合について、「あっせん」および「仲裁」がここで利用できる金融ADRの内容となります。
上記以外の場合についても、まずは紛争解決センター・仲裁センターにご相談ください。
ただし「「苦情処理及び紛争解決に関する規則」に関する細則」によると、以下の場合は対象外となります。
(1)取引の名義が、当該申出人本人でない場合(ただし、規則第3条ただし書き該当する場合は除く。)
(2)苦情の原因である取引の日から3年が経過している場合
(3)当該苦情に係る訴訟が終了若しくは訴訟中、又は民事調停が終了若しくは民事調停中のものである場合
(4)弁護士会のあっせん・仲介手続きが終了又は手続中の場合
(5)会員の経営方針や販売態度又は会員従業員個人に係る事項など、事柄の性質上、紛争解決支援機関の利用が適当でないと認められる場合
(6)不当な目的で又はみだりに苦情の申し出をしたと認められる場合
(参考)
・紛争解決について(日本仮想通貨交換業協会)
・苦情処理及び紛争解決に関する規則(日本仮想通貨交換業協会)
・「苦情処理及び紛争解決に関する規則」に関する細則(日本仮想通貨交換業協会)
・紛争解決センター(ADR)(日本弁護士連合会)
・ADRとは?(公益社団法人 民間総合調停センター)
・裁判外紛争解決手続(Wikipedia)
・金融ADR制度(金融分野における裁判外紛争解決制度)(金融庁)
・金融機関との間でトラブルをかかえている利用者の皆様へ(金融庁)
・金融ADRの現状と問題点(J-STAGE)
・金融ADRの活用と利点と難点(朝雲法律事務所)
・金融ADRとは、メリットとデメリット(ダブル平均法で株式投資)
・ADR(裁判外紛争解決手続)の現状と課題(大阪地方裁判所・大阪家庭裁判所 )
・ADR(仲裁)(第一東京弁護士会)
2.金融ADRはどうやって使うの?
金融ADR利用の流れ
日本仮想通貨交換業協会のページに参考資料として挙げられている金融ADR利用案内リーフレットによれば、トラブル発生後、金融機関の利用者が金融ADR利用までは以下の流れだそうです。(★をつけたのが、利用者が動く必要のある部分です)
STEP1:紛争の発生からADRの申立
(1)利用者と金融機関の間でトラブル発生
(2)利用者から弁護士会に金融ADRの申立(★)
(3)弁護士会から金融機関に手続きへの参加要請
STEP2:期日の開催と手続き
(4)利用者と金融機関からあっせん人へ主張&資料提出(★)
(5)あっせん人から金融機関へ提出要請(場合によっては★)
(6)利用者と金融機関の和解あっせん(★)
STEP3:紛争解決
(7)和解成立(トラブル解決)(★)
(参考)
・早くて安心、弁護士会の紛争解決 金融ADR(第二東京弁護士会)
・ADR(仲裁)(第一東京弁護士会)
申立の方法
申立は、東京三弁護士会の窓口に申立書や関係書類(このリンク先に、提出書類のチェックリストもあります)を提出すれば良いようです。
「センター利用確認書」を提出することにより、日本仮想通貨交換業協会から取次ぎもできるそうです。
取引所会社でも、窓口についてたとえば以下で言及されています。
・金融ADR制度について(GMOコイン)
・金融ADR制度について(フィスコ仮想通貨取引所)
・金融ADR制度について(みんなのビットコイン)
・Coincheck 仮想通貨取引説明書(コインチェック)
(参考)
・紛争解決について(日本仮想通貨交換業協会)
・早くて安心、弁護士会の紛争解決 金融ADR(第二東京弁護士会)
・金融トラブル、費用をかけずに早期解決!金融ADR制度をご利用ください(政府広報オンライン)
3.利用料はおいくら?
申立、話し合いについて金融機関の利用者は無料です。
これらの費用は金融ADRとして原則金融機関の負担となっていて、日本仮想通貨交換業協会の会員については明確に申立手数料と期日手数料について会員(金融機関側)負担と記載されています。
費用がかかるのは、あっせん・仲裁が成立した場合です。
日本仮想通貨交換業協会HPによると、手数料は以下の割合を申立人(金融機関の利用者)と相手方(金融機関)で分担します。

(参考)
・紛争解決について(日本仮想通貨交換業協会)
・苦情処理及び紛争解決に関する規則(日本仮想通貨交換業協会)
・「苦情処理及び紛争解決に関する規則」に関する細則(日本仮想通貨交換業協会)
・早くて安心、弁護士会の紛争解決 金融ADR(第二東京弁護士会)
・金融商品取引法(e-Gov)
まとめ
詳細は本文を参照していただきたいのですが、「金融ADR」は
1.どんなものか?
2.どうやって使うのか?
3.いくらくらいかかるのか?
という3つの観点について、今回調べた結果から以下のようなものだと分かりました。
1.当事者間でトラブルが解決できない場合に、裁判に比べて低コストかつ短期間で第三者を交えて解決しようという制度。
2.日本仮想通貨交換業協会経由または東京三弁護士会の「紛争解決センター・仲裁センター」に直接書類を提出。
3.申立と相談までは無料で、あっせん・仲裁が成立したときに手数料が発生。
規則などを読み込むのはなかなか労力が必要かと思います。
困ったときには、こういう制度があることを念頭に置きつつ、日本仮想通貨交換業協会や各センターに相談するのが良さそうです。
利用する機会に出会いたくはないですが(笑)、こういう制度があって、内容や手続きなどについて理解しておくのは有用だと思います。
制度自体の認知や理解が今後ちゃんと広まると良いなと思いつつ、今回はこのへんで。
2018年11月21日から日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)と紛争解決センターが「仮想通貨交換業務に関する利用者からの申立による紛争解決(ADR)」について協定を締結しました。
これは金融庁の資料にある「仮想通貨交換業に関する自主規制の概要について」に記載された苦情処理・紛争解決に関する要請に基づくものかと思われます。
ちゃんと知っておいた方が良さそうなので、この「金融ADR」なる制度について
1.どんなものか?
2.どうやって使うのか?
3.いくらくらいかかるのか?
という観点から調べてみました。
間違いなどありましたら、ぜひメールフォームからご指摘いただけると助かります。
1.金融ADRってどんなもの?
そもそもADRって?
「ADR」は「Alternative Dispute Resolution(代替的紛争解決手続、裁判外紛争解決手続)」の略で、トラブルが当事者間で解決できない場合に、当事者以外の第三者に入ってもらいつつ、裁判せずに解決を図る仕組みです。
訴訟を起こす場合に比べて
(1)手続きが簡便
(2)解決時間が短い
(3)当事者による解決が重視される
(4)低コスト
(5)非公開
という特徴があるようです。
じゃあ、金融ADRって?
金融機関相手のADRで、第三者として金融の専門家が中立・公正な立場で関与してくれます。
(金融)ADRのメリットとデメリット
では、(金融)ADRのメリットとデメリットはどんなものでしょうか?
調べてみた感じだと、以下のような点が挙げられるようです。
〈メリット〉
(1)裁判に比べて手続きが簡単
(2)裁判に比べて解決が迅速
(3)裁判に比べて低コスト
(4)中立・公正な専門家による和解案が得られる
また、「金融機関は、金融ADR機関から提示された和解案を原則受け入れ」というのも利用者からするとメリットになるかと思われます。
〈デメリット〉
(1)裁判に比べて結論の厳密性に欠ける(手続きの簡便性、解決の迅速性を求めるため)
(2)裁判に比べて、かえって解決が長引く可能性もある
(3)被害者に極端に有利とはならない
(4)「あっせん」の場合に解決案に拘束力がない(金融ADRの場合、上記のように金融機関側には拘束力がありそうです)
(5)認知度が低い
「消費者金融などの利用者が払い過ぎた金利(過払い金)の返済請求は「債務整理」の扱いになるため、原則としてADRの対象にはならない」というのも、(暗号資産関連で起こるかはわかりませんが)デメリットかも知れません。
だいたいこんな感じでしょうか。
いつ利用するの?
当事者間(取引所とその利用者など)で、トラブルを解決できない場合に利用します。
今回は仮想通貨関連の利用シーンに絞りますと、日本仮想通貨交換業協会によれば、当事者間で協議して解決できない以下のような場合が想定されています。
・ (日本仮想通貨交換業協会の)会員による説明では納得できない場合
・ 苦情の処理によらずに金融ADRによる解決を求める場合
・ 苦情の申し出から3か月以上にわたり苦情の解決が図られていない場合
原則これらの場合について、「あっせん」および「仲裁」がここで利用できる金融ADRの内容となります。
上記以外の場合についても、まずは紛争解決センター・仲裁センターにご相談ください。
ただし「「苦情処理及び紛争解決に関する規則」に関する細則」によると、以下の場合は対象外となります。
(1)取引の名義が、当該申出人本人でない場合(ただし、規則第3条ただし書き該当する場合は除く。)
(2)苦情の原因である取引の日から3年が経過している場合
(3)当該苦情に係る訴訟が終了若しくは訴訟中、又は民事調停が終了若しくは民事調停中のものである場合
(4)弁護士会のあっせん・仲介手続きが終了又は手続中の場合
(5)会員の経営方針や販売態度又は会員従業員個人に係る事項など、事柄の性質上、紛争解決支援機関の利用が適当でないと認められる場合
(6)不当な目的で又はみだりに苦情の申し出をしたと認められる場合
(参考)
・紛争解決について(日本仮想通貨交換業協会)
・苦情処理及び紛争解決に関する規則(日本仮想通貨交換業協会)
・「苦情処理及び紛争解決に関する規則」に関する細則(日本仮想通貨交換業協会)
・紛争解決センター(ADR)(日本弁護士連合会)
・ADRとは?(公益社団法人 民間総合調停センター)
・裁判外紛争解決手続(Wikipedia)
・金融ADR制度(金融分野における裁判外紛争解決制度)(金融庁)
・金融機関との間でトラブルをかかえている利用者の皆様へ(金融庁)
・金融ADRの現状と問題点(J-STAGE)
・金融ADRの活用と利点と難点(朝雲法律事務所)
・金融ADRとは、メリットとデメリット(ダブル平均法で株式投資)
・ADR(裁判外紛争解決手続)の現状と課題(大阪地方裁判所・大阪家庭裁判所 )
・ADR(仲裁)(第一東京弁護士会)
2.金融ADRはどうやって使うの?
金融ADR利用の流れ
日本仮想通貨交換業協会のページに参考資料として挙げられている金融ADR利用案内リーフレットによれば、トラブル発生後、金融機関の利用者が金融ADR利用までは以下の流れだそうです。(★をつけたのが、利用者が動く必要のある部分です)
STEP1:紛争の発生からADRの申立
(1)利用者と金融機関の間でトラブル発生
(2)利用者から弁護士会に金融ADRの申立(★)
(3)弁護士会から金融機関に手続きへの参加要請
STEP2:期日の開催と手続き
(4)利用者と金融機関からあっせん人へ主張&資料提出(★)
(5)あっせん人から金融機関へ提出要請(場合によっては★)
(6)利用者と金融機関の和解あっせん(★)
STEP3:紛争解決
(7)和解成立(トラブル解決)(★)
(参考)
・早くて安心、弁護士会の紛争解決 金融ADR(第二東京弁護士会)
・ADR(仲裁)(第一東京弁護士会)
申立の方法
申立は、東京三弁護士会の窓口に申立書や関係書類(このリンク先に、提出書類のチェックリストもあります)を提出すれば良いようです。
「センター利用確認書」を提出することにより、日本仮想通貨交換業協会から取次ぎもできるそうです。
取引所会社でも、窓口についてたとえば以下で言及されています。
・金融ADR制度について(GMOコイン)
・金融ADR制度について(フィスコ仮想通貨取引所)
・金融ADR制度について(みんなのビットコイン)
・Coincheck 仮想通貨取引説明書(コインチェック)
(参考)
・紛争解決について(日本仮想通貨交換業協会)
・早くて安心、弁護士会の紛争解決 金融ADR(第二東京弁護士会)
・金融トラブル、費用をかけずに早期解決!金融ADR制度をご利用ください(政府広報オンライン)
3.利用料はおいくら?
申立、話し合いについて金融機関の利用者は無料です。
これらの費用は金融ADRとして原則金融機関の負担となっていて、日本仮想通貨交換業協会の会員については明確に申立手数料と期日手数料について会員(金融機関側)負担と記載されています。
費用がかかるのは、あっせん・仲裁が成立した場合です。
日本仮想通貨交換業協会HPによると、手数料は以下の割合を申立人(金融機関の利用者)と相手方(金融機関)で分担します。

(参考)
・紛争解決について(日本仮想通貨交換業協会)
・苦情処理及び紛争解決に関する規則(日本仮想通貨交換業協会)
・「苦情処理及び紛争解決に関する規則」に関する細則(日本仮想通貨交換業協会)
・早くて安心、弁護士会の紛争解決 金融ADR(第二東京弁護士会)
・金融商品取引法(e-Gov)
まとめ
詳細は本文を参照していただきたいのですが、「金融ADR」は
1.どんなものか?
2.どうやって使うのか?
3.いくらくらいかかるのか?
という3つの観点について、今回調べた結果から以下のようなものだと分かりました。
1.当事者間でトラブルが解決できない場合に、裁判に比べて低コストかつ短期間で第三者を交えて解決しようという制度。
2.日本仮想通貨交換業協会経由または東京三弁護士会の「紛争解決センター・仲裁センター」に直接書類を提出。
3.申立と相談までは無料で、あっせん・仲裁が成立したときに手数料が発生。
規則などを読み込むのはなかなか労力が必要かと思います。
困ったときには、こういう制度があることを念頭に置きつつ、日本仮想通貨交換業協会や各センターに相談するのが良さそうです。
利用する機会に出会いたくはないですが(笑)、こういう制度があって、内容や手続きなどについて理解しておくのは有用だと思います。
制度自体の認知や理解が今後ちゃんと広まると良いなと思いつつ、今回はこのへんで。